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2009年06月15日 14:38

一期一会 * * * *

by かさぎ

Tags: プライベートの話

先日、もと上司の訃報を知りました。

新卒で就職した会社で4年近く指導してくださった、 私の「人生で最初の上司」が、 数ヶ月前に亡くなったと、当事の同期が知らせてくれたのです。

若気の至りで、厳しい指導を理不尽に思って泣いたことも、 生意気なことを言ってたてついたこともあります。 でも、転職してその会社を離れてわかったのは、 その方が私に教えようとしてくれたのは「仕事に本気で取り組む姿勢」だったということ。

忘れられない一言があります。 一度だけ、弱音を吐いたことがありました。 いつも負担をかけ、心苦しく感じていた業者さんに対して、更に厳しい条件をつきつけろ、と指示されたときに 思わず気持ちが率先して、「言いづらいです…」と言ってしまったのです。 「なんだと!?」といつもの怒声がかえってくるかと思って身をすくめたら、 上司はぎょろっと私を見て、言いました。

「・・・おい、言いづらい事言うのが仕事なんじゃねえのか」

それは、まだスマートなキャリアウーマン(ふるい・・・)を夢見る学生気分が抜けていなかった私に「仕事」の新しい局面を開いて見せた言葉でした。その瞬間、私ははっとして、自分がいかに「仕事」の表層しか見ていなかったかに気付いたのです。「言いづらいこと言うのが仕事なんじゃねえのか。」 いまでもときどき思い返しては、その言葉の深い意味を探ることがあります。

私が退社するときには、「お前ならどこでもやってけるよ」と、 うそか本当かわからない表情で餞の言葉をくださいました。 社交辞令かな、と思いつつも、ぶっきらぼうな上司の言葉は 他のどんな励ましの言葉よりも心に沁みました。

それから8年ほど、お会いする機会もないまま時間が経ちましたが、 いろいろな経験を積む中で、折に触れ、上司の存在や言葉を思い出します。 そして、あの頃上司が私に伝えたくてやきもきしていたことが何なのか、 なぜ私にあれほど厳しく接していたのかが、なんとなく理解できるようになりました。

当事の同期や同僚から もと上司も定年が近く、グループ会社へ転籍してのんびりしておられると聞いていたので、 そのうちあそびに行って、自分なりの成長を報告して、あの頃の指導に感謝しに行こう、 もう少ししたら、もう少ししたら、と思っていた矢先の 思いがけない訃報でした。(まだ十分な時間があるはずの、若さでした。)

行こうと思えばいつでも行けたのに、 行動しなかったがために永遠に失ってしまったチャンス。 最後にお会いして、気持ちを伝えられなかった心残りは、もう解消することができません。

実は、上司の訃報を聞いて間もなく、3週間ほど前に、母方の祖母を亡くしました。 最期が近いことも予想されていたからか、亡くなったときにはあまり悲しみを感じずに、 淡々と一連の葬儀の流れをこなしたのですが、 少し時間が経つと、祖母の不在が思った以上に寂しいものだと気付きました。 もう、どんな他愛のないことでも、 祖母に話したり、祖母の答えを聞いたりすることはかなわないんだなぁ、という実感が湧いてきたのです。

それは、母を生み育て、私の成長を慈しんで見守ってくれた人と、 もっと話すことがあったのではないか、話したかった、 と、一緒にすごした時間を無駄にしたことを悔やむ気持ちでもありました。

立て続けに起きた、祖母と元上司の不幸から、 ありきたりかもしれませんが、「一期一会」を強く感じています。 この世に生を受けて、せっかく縁を結ぶことができた人たちと、 私は思い残すことのない交わりができているだろうか? 変な言い方ですが、誰かと接するときに、 自分か相手が、もし明日この世を去っても、 お互いに伝えたいことを伝えて、できる限り理解しあった、という気持ちを 持てるだろうか? 私は相手の気持ちをしっかり汲み取り、自分の気持ちを伝え切れているだろうか?

そんなことを、自分に問いかけています。

この記事の執筆者

代表取締役 かさぎ 33歳 入社2年目

約10年前、新卒で入社した大手企業ではどうしても自分の居場所が見つけられず、「このままでは自分がだめになってしまう...

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